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『マッドマックス』の未来にならないために!?世界の水不足を解消!?海水を飲料水にする超技術!

塩分・細菌・ウィルスまで徹底的にろ過する超技術

 

 逆浸透膜とは、水分子だけを通して水以外の不純物は透過させない性質をもつ、ろ過膜のこと。この膜には、1~2ナノメートル(1メートルの10億分の1の大きさ)の超極小な孔が空いていて、これを用いて海水に一定の圧力をかけると水分子だけが孔を通って塩分濃度の低い側に移動し、全体の約半分の海水を塩分濃度0・01%程度の真水に変えることができます。また、塩分だけでなく細菌やウイルス、イオンなどもろ過でき、飲用可能な真水に変えられるというから驚きです。

 この技術自体は、もともとアメリカで発明されたものでしたが、多くのメーカーは実用化までこぎつけられませんでした。それを、日本のメーカーが実用化に成功し、現在「日東電工」「東レ」「東洋紡」の国内3社だけで、世界シェアの5割を占めています。

 とくに淡水資源がきわめて少ない中東では、海水を処理して淡水化することが、人々の生活にも産業にとっても非常に重要です。かつて中東の産油国サウジアラビアでは、海水をボイラーに取り込み、石油を燃やした熱で蒸発させて淡水を得る「蒸留法」方式で海水を淡水化していました。

 しかし近年、石油資源の先行き不透明さ、環境保護への意識の高まりもあり、方式の見直しを迫られました。

 そこで「逆浸透膜」方式が台頭します。

 また、「逆浸透膜」方式のほうが格段にエネルギー効率がよいうえに、良質な淡水を得られる利点もあり、注目を集めたのです。サウジアラビアでは、「三菱重工」が設計・施工を一括受注した、発電と海水淡水化を兼ねたプラントが、2009年から稼働しています。

 2011年には、柑橘類の栽培が盛んなアルジェリアの北西部マグタで、世界最大の海水淡水化プラントが稼働しました。この施設は1日あたり50万トン、約200万人分の生活用水を供給できるというもので、東レがすべての逆浸透膜を受注しています。

枯れた水源から水を汲む女性(タンザニア)

 じつはこのプラントの建設時、発注元のアルジェリア政府側から「柑橘類の病気の原因となるホウ素も除去してほしい」という特殊な要求がありました。 

 ホウ素は水分子と同じくらい小さく、受注当時の技術では逆浸透膜ですら除去が難しいとされていました。しかし東レは、ホウ素除去に対応した専用の水処理膜を開発して、この特殊な要求もクリア。

 日本の海水淡水化技術の高さを世界に高らかに示したのです。

 日東電工も負けていません。オーストラリア・ヴィクトリア州の大型プラントで同社の逆浸透膜が採用され、脚光を浴びています。

 この施設は世界第2位の規模を誇り、造水量は1日44万トン、同州メルボルンの年間給水量の3分の1をまかなえる巨大なもの。こちらのプラントはすでに完成し、2011年から稼働しています。

 今後ますます成長が見込まれ、耳目を集めるであろう海水淡水化ビジネス。その市場は推定100兆円超の規模と予測され、韓国や中国などのメーカーも次々に名乗りを上げていますが、その分野を先導しているのが日本の企業、日本の技術力なのです。

世界が絶賛する日本 われわれが知らない進化する真価』より

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